ファンキー末吉氏の記者会見(後半)

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JASRACの運用問題に関する記者会見(2)より

 

「質問がありましたら今日は時間がたっぷりありますので、どうぞ。あ、私、あのぅ職業柄耳がちょっと遠いので、聞き逃すこともありますので、ちょっと大きな声ではっきりと言っていただければ結構です。ご自由に質問ください」

 

共同通信共同通信の森(?)といいます。よろしくお願いいたします。

2点お伺いしたいのですが、先月最高裁で上告が棄却されたと。その裁判についてのちょっと簡単な説明をしていただけないかということ、とですね、

2つ目は今回の上申の内容についてですね、このこと自体を裁判・訴訟にしていくお考えはおありかどうか、の2点」

「分かりました。

まず足掛け4年にわたって戦ってきた裁判ですが、払う側としての裁判で、金額が決まったので、それを全額払って終わりましたが、こちらが戦っていたのは…4ページ目お願いします。ライブハウスというものの中に、この「カラオケ法理」というものがいま著作権裁判の中でいま問題視されております。いろんな法律学者の人が、もう「カラオケ法理」を何にでも適用するのはおかしいんじゃないかという声が挙がっているのが現状です。

これは、カラオケ屋さんで、ちょっと後で(鈴木弁護士に)補足してもらいますが、カラオケ屋さんで歌っているのはお客さんではない、店が歌ってるんだという理論ですね。だから店から徴収するということなんですが、何でもかんでもそうでしたら、例えば将来的に、音楽教室もそうですけれども、貸しスタジオで、例えばよくファンクラブの、大きな貸しスタジオでファンクラブイベントなんかやりますが、それも…。あ、前後しますが、(「カラオケ法理」というのは)カラオケ屋は店が歌っている。ライブハウスは店が演奏してる、という理論なんですね。

それをどんどん広げていくと、楽器さえ置いていれば公民館が演奏している。貸しスタジオが演奏している。そのようにどんどん拡大をしていけば、JASRACは一網打尽に包括契約で取れていくんですが、「Live Bar X.Y.Z.→A」もそうなんですけれども、普通ライブハウスというのは、出演者が何の曲を演奏したかを知らないんです。だから、「支配・管理」というんですけど、それを私ライブハウスに出てる、長く出てるんですが、ライブハウスから支配・管理をされることがないんですね。

だから、箱バンと呼ばれるライブをやってるお店はありまして、例えばビートルズの店(「曲」?)を演奏しろ、と言って給料をもらってる。これはまあ店が演奏してるって言っても、ああなるほどなと思うんですが、部分もあるんですが、普通のライブハウスで店は何の曲を演奏してんのか分からない。

例えばコンサートホールとまったくいっしょですね。コンサートホールのオーナーは、今日のコンサートの曲の詳細までは知りません。だから、出演者がこんな曲をやりますのでと言って許諾をとる。

ところが、もうライブハウスも実はそうなんで、コンサートホールとあまり変わらないんですけど、まったく別の運営をしてる。そしたらどんどんどんどん解釈を広げていくと、何でもかんでも店が演奏してるのかっていうことを争ってました。結局は、「カラオケ法理」に当てはめられて、まぁ額を決められて、それを納めたことになって、裁判は終わっております。

これとは、その裁判と今回の記者会見の内容とはまったく違う内容です。今回の中には、払う側としての立場は一切ありませんので、弁済も終わってますので、社会の問題として提起しております。ちょっとこのことについては、鈴木弁護士からちょっと追加説明していただきます」 

「はい、ご説明申し上げます。

裁判の一番の争点はですね、お店が歌っている、お店が演奏しているという評価ができるかどうかというところでございました。

例えばなんですが、ある飲食店がですね、お抱えのピアノマンに曲目や曲調を指定して演奏させる。いわば操り人形のように使っているという場合であれば、法的な評価として、お店が歌っている、お店が演奏しているという評価もできなくはないのではないか、というような理屈も法の世界ではあるんですけれども、それが、今回ライブハウスで実際に曲の選曲にも演奏にもまったくノータッチ、場所を貸しているだけというような中で、そのような場合でもお店が演奏しているという法的評価になるのだろうか、というところが争点でありました。

その点に関しては、以前ですね、JASRACさんのほうがカラオケスナックというところで、お店が歌っているというような評価をしないと、どうしても著作権法上は、お客さんが歌っているという評価をしてしまうと、お店のほうに請求する手段がなかった時代でしたものですから、それでそういう判例を出した、裁判所が出したんですけれども*1、それでカラオケ店で広まったもので「カラオケ法理」というような俗名もあるんですけれども、その「カラオケ法理」というようなものを、どんどんどんどん拡張していって、いろんなものに使っていいんだろうか、というところが著作権法の学会で非常に疑問視されているところであります。

ですので、その「カラオケ法理」というようなものの拡張というものを、それを食い止めよう、もうそういったものをですね、制限を加えようということが、学術的な世界、著作権法の学会*2の中では主流になりつつあるというか、私は完全に主流だと思っておりまして、今回、学者の先生方もこちらに対してですね、意見書を書いてくださってるということで、応援していただいているということでございます*3

ただ、そこは裁判所としては「カラオケ法理」というようなものに加えて、「枢要な行為」というような言葉もございますけれども、お店の側が枢要な行為をやったと。それで、演者をですね、管理・支配して、それで利益を得たというようなファクターを挙げて、それに当てはまるというようなことを認定した、というのが今回の事例でございます。

ですので今回ですね、その争点とこの上申とはですね、まったく次元が違うと言えば次元が違う。ただ、もちろん払う側の問題として、これだけ実際にはですね、権利者のほうに分配していないという実情がある。こちらとしては、曲目を全部書き上げて指定して、それでこの作者の方々にきちんと分配してくださいという形で、使用料の供託もしていたんですけれども、ですから払いたくないから争っていたわけではなくって、きちんと払って、権利者のほうに分配してくださいという主旨で供託をしていたんですけれども、そこは認められずに、結局裁判所としては、まぁこういう場所貸しに近いような形態であっても、店が歌っているというような判断をしたというのが今回の裁判でございます*4

ですので、今回裁判とは次元が違うところで、まぁ重複する部分はなくはないんですけれども、違う次元の問題だというふうに捉えております。以上です」 

「ちょっと補足しますと、スライドの4ページをお願いします。

供託していたお金は、出演者が自分でJASRACから指定された書式に書いて、JASRACが言う1曲140円というお金を支払って、店が預かって、それを法務省に供託していました。中には、自分で演奏した曲(「自分で作曲した曲」の誤りか)に140円を払って、それで供託していた人も多いです。ライブハウスはオリジナルをやる店が多いので。出演者が多いので。結局、それはその結果によって、その供託を受け取りませんでしたので、JASRACは。そしてそのデータ、書かせた、その全部のデータを全部無視しましたので、自分の曲を自分で演奏して、お金を払った演奏者には、この原理で、自分のところにお金は戻ってきません*5。サンプリングにヒットした人に、そのお金が行くことになります。これが矛盾ではないかなと思います。

さきほども言ったように、その裁判はもう終わりましたので、お金は支払いましたので、これとは全然関係ないですが、鈴木先生がおっしゃったように、リンクする部分も残っております。ひとつ目の答はこれでよろしいですか。ふたつ…」 

「ちょっと事実関係として、すみません、ここに出てきます、そのぉ、えー、よろしいですか。事実関係の確認なんですが、2013年10月にJASRACが「Live Bar X.Y.Z.→A」に対して起こした訴訟、これ、この経営者がファンキーさんということでよろしいんですか?」 

「私は、経営に関与したと自分では言っておりますが、JASRACは経営者として私を訴えました」 

「それで、その結果、先日の高裁の判決が確定したとサイトにあるんですけども、その確定した日時とですね」 

「7月12日です」 

「12日。その概要は教えていただけますか」 

「12日に、えー…(鈴木弁護士から訂正が入り)11日でしたか。7月11日です。高裁の結果を受けて、最高裁に上告してますが、それを却下するという通達が来たのが7月11日です」 

「その内容はどういう? 金額も教えてください」 

「その最高裁の話でいいますと、上告を棄却すると。上告の受理申し立てを受け付けない、ということでございます。これはもうほんとにA4の簡単なペーパー1枚だけなんですけども、それは高裁判決のまま維持されたということでございます」 

「その結果、その高裁判決が確定したということですが、確定した判決の内容を教えてください」 

「確定した内容は、店が著作権料を払え、額はいくらである、という判決です。判決の文は…」 

「今日はですね、裁判に関してのご説明ということを想定していなかったものですから、判決文は持ってきていないんですが、ですのでちょっと今軽々に間違ったことを言っちゃいけませんので、もし何かありましたらまた後日、その判決をご説明することに関しては、ご説明することに関しては別途、(聞き取れず)そういった形でやらせていただきます」 

「2つ目の質問ですが、今日会見した内容を裁判で争うつもりがあるか、という点においては、私はさきほども言いましたように、これは社会問題だと思ってますので、私がJASRACを訴えるとかっていう種類ではなく、こういう事実があると私は考えている。おかしいんじゃないかと。文化庁に、直してください、調べてください、そしてそうだったら改善命令を出してください、ということなので、私がJASRACをどうするということじゃなく、管轄の組織である文化庁がやるべきことであって、それを握りつぶされないように、国民の皆さんに声を挙げて、一緒に声を挙げていただきたいというのが考えですので、これを裁判にするとかっていう考えは今のところ持っておりません」

 

朝日新聞朝日新聞の赤田と申します。どうも。いろんな記者のみんな、たぶんいろいろ質問したいことあると思うんで、すみませんが末吉さん、短めにひとつひとつ簡潔にご回答いただければ助かります。

3つぐらいちょっと伺いたいんですけれども、1つはですね、まずJASRACと末吉さんの関係、JASRACに権利を委託していて、JASRACはその権利者のためにですね、一所懸命頑張って、お金を集めて、利益、著作権料を分配するのがJASRACの仕事ですので、末吉さんからすればJASRACはこう味方というか、本来はこう、自分の利益になることをやってくれるはずなわけですけれども、そのJASRACに対して、どういう思いをお持ちなのか、一言で伺いたいと思います。つまり、権利者の一人として、JASRACにこういうふうに変えてほしいと、いろいろ要求してですね、業務の改善を求めることはできるとは思うんですが、まあ正会員ではないのは把握してますけれども、それでも権利を委託している以上ですね、改善を求めることはできると思うんですがなかなかそこが要求が通らないのだとすれば、巨大な組織をどういうふうに思っていらっしゃるのかっていうのを伺いたいのが1点目。

それから2点目は細かいことですが、今日の上申書の中に、200…演奏…10年間で204回のライブを行いながら使用料が1円ももらえなかったという、これ非常に具体的な話で分かりやすいんですが、これは過去の裁判例で、末吉さんのその裁判例の中でも、判決の中でもこの話がちょっと出てきていて、細かいんですけどすいません、4公演分の著作権料のみが支払われたっていう記述もあったもんですから*6。これ、まあこれで間違いなければいいんですけども一応確認です、はい。それと3つ目は…。これ、この数字で間違いなければいいんですけれどゼロ円で間違いないということであればいいんですが、はい。

それから3つ目は、今回の裁判で、演奏主体の問題。今回の上申書の前半の部分ですね。演奏主体が店ではなくて演奏家なんだと、いうご主張。その演奏家著作権料を払いたいのに、それを受け入れなかったのが著作権等管理事業法違反だというご主張については、事実上裁判で、演奏主体は店側なんだという判断が確定してしまったと言えるのではないかと思うんですね。それがいいかどうかは別にしてですけれども、法的にはそういう意味で、判決で演奏主体の問題は一回出てしまってるとなると、なかなかこの部分、文化庁に主張してもですね、なかなかそれによってこう文化庁が対応するってこともなかなか難しいのかなっていう感じも持つんですけれども、その判決に対する思いも含めてですね、伺えればっていうのが3点目。以上です」 

「じゃあ1つ目から言いますと、JASRACに対する感情ですが、私あのー、個人的な感情ですけれども、なんか店を片っ端から訴訟していく姿、音楽教室から徴収するときのあの強引なやり方、とかにものすごい嫌ーな感じを受けております。ただ、現状で演奏権の場合はJASRACの独占ですので、私たちは選ぶことができません*7。それに市場がもう95%とかあるんだったら、もう実際独占です。ので、私が思うのは、もし八百屋さんとか普通の商売だったら、私は態度のいい店と付き合いたいなと、思っているだけで、選択肢がないというのが一番問題じゃないかなと、1番目はそのようにお答えしておきます。

2番目のその小さな数字ですけれども、今回書いた数字はそれなりに調べておりますので、それは間違いないと思います。(鈴木弁護士からアドバイス入る)調べてまたお知らせいたします*8

3つ目ですけれども、それは話が違うと思います。それは演奏主体が店であるとか、演奏者であるっていうのは場合場合によって全部違いますので、さきほども言ったように、今まで戦ってきた裁判と、今回のことはまったく話が違います。この場合は、演奏者の許諾を断ってはいけないという判例が出てるのに、その理由を未払いであるからという理由によって、断ってはいけないとJASRACに対して判例が下りているのに、まったくおんなし形で許諾を拒否した、ということを問題にしているわけで、演奏の主体が何であるかは、どちらであるかっていうのはその場合、場合によって違うと思いますので。その件に関してはちょっと(鈴木弁護士に)説明していただきます」 

「法的な問題についてなんですが、主体は店側ということでもう裁判で確定したじゃないかという話なんですが、実はこれは裁判例、今までもずっとそうなんですが、プレイヤーが演奏主体であることは当然の前提としたうえで、店「も」主体になるかということが争点で、で、店も主体になるということが今回決まったという(聞き取れず)でして、ですので、主体は店側であって、プレイヤーは主体ではないという判断がくだったわけではございませんので、その点だけ申し上げておきます」 

 

「他にありますか」  

読売新聞「読売新聞の鶴田(?)と申します。今回上申書、上申者、えっと末吉さんお一人とあと弁護士の方ですけども…」 

「ちょっと聞こえません。(マイクを)近づけていただきたい」 

「今回ですね、上申者がファンキー末吉さんお一人と、あとまぁ弁護士の方の名前書いてあるんですけど、今回はファンキーさんが上申者というふうに捉えているんですけれども、例の音楽教室の問題ではですね、250の事業者の方々が一斉に活動されて、訴訟をされたりしているんですけども*9、同じ問題で、同じ問題意識を持つライブハウスの経営者の方たちと、なんというんですかね、共闘というか、いっしょに呼びかけをして動くというようなお考えはお持ちですか」 

「間に合わなかったというのはまずあるんですが、形が全然違うのは、このように私だけが知っている、これは違法行為なんじゃないか、ということの告発ですので、告発をする場合に、じゃあこれを告発をするので、じゃあ50万人署名を集めるというのは筋が全然違うと思うので、これは全然種類が違うと思います。でも、これから先、この私の上申書を文化庁がちゃんと調査して、ちゃんと扱ってくれるようにという署名は、集める可能性はあると思います」

 

「他にありますか」 

CCTVCCTV(中国中央电视台)ビジネスチャネルのチャオ(?)と申します。

さきほど、JASRACの運用の問題点について詳しく説明してくださったんですけど、今ちょっと今後の改善策として、お聞き…今後の改善策、そうですね、ついて伺いたいんですけど、さっきおっしゃった通りに、末吉さんは著作権の、なんていうんですかね、使う側でもありつつ、もらう側でもありますので、今後は1曲1回の報告方式を確実に行うとか、もらう側として使用料の分配方式をさらに透明化させるとか、そういうことについてどう考えてるんですか」 

「透明化はしてほしいと思ってます。透明化さえされたら…というか、この世の中でいろんな企業に透明化を求められているこの時代に、JASRACだけが頑なに透明化をブラックボックスの中に入れて拒んでいるっていうところが、ものすごい不自然だなと私は思いますし、透明化さえされたら、JASRACに対する世間の反感というものは大分下がるんじゃないかなと私は個人的に思ってます。でも、それは私がそのような運動をすることではなく、ちゃんと文化庁という管轄の組織がありますので、だから上申をして、管轄して、いいように直してほしいということを、文化庁に上申しているということです。ありがとうございます、中国からわざわざ」 

「じゃあ今のご質問と、さきほど赤田記者のご質問と重複するところもあるのですが、さきほどの赤田さんからのご質問で、店舗とプレイヤーとどちらが演奏主体なんだろうという話で、それは両方だという判断になっているわけで、それがプレイヤーは当然に奏者だということは、これはもう間違いないわけですね。そうすると、スライドの5番目を見ていただきますと、その判例、今回問題となっている判例の、2行目の青い文字の部分ですが、店舗経営者も利用主体と認められる、店舗経営者「も」利用主体と認められる、という理由で…」

 

(30分経過したためいったん配信終了。再開まで約30秒欠落)

(ここからJASRACの運用問題に関する記者会見(3)

 

「…どのバージョン、誰の曲のどのバージョンを、どういうアレンジでやってるかということについてはまったく知りえない。それはプレイヤーしか分からないんですね。ですから、プレイヤー自身が、終わった瞬間に、スマートフォンでですね、簡単にサイトを開いていただいて、そこで今この曲をやりましたということでポンと申請する形のシステムを作ってくれれば、それは、コンサートではそれが出来るわけですけれども、そういう形のものをやっていただければ、ライブハウスの側が曲目を調査して報告するという、そういうかなり無理に近いシステムを包括契約とどちらかの選択していただく形をとらなくても行けるのではないかという、それが今回の解決策としてご提案しているところでございます」

 

「他にありますか」

AERA「あ、すいません。「AERA」という雑誌の大平ですけども、こんにちは。

えっとライブハウスから、包括契約著作権料を徴収しているのは事実ですよね。いくらか分かりませんけれども、全体としてかなり大きな額を徴収をしている*10一方で…」 

「(マイクの)近くで…」 

A「ああ、すみません。それで分配されている、された事実は…例えば末吉さんご本人は1円ももらってないんですよね」 

「記憶がないですね*11」 

A「ないですよね。どなたか俺は貰ってるよというような、要するに、ブラックボックスの中から搾りだした(聞き取れず)でもいいんですけど、そういう事実っていうのは確認されたことはありますか」 

「私はやっぱりロック界の人間なんで、ロック界のお友達が多いんですが、ロック界ではもう諦められていて、貰ったという話はもうまったく聞かないんで、歌謡界の人が貰ってるんじゃないかなと思ってたんですが、そしたら歌謡界のアイドルのほうの人も貰ってないっていう話も出てきたので」 

A「先ほどのですね」 

「はい。さっぱりそれは誰が貰ってんのか、私にはもう想像もできません」 

A「これあのぅ、まあ鈴木先生にも質問ですけれども、同じことですが、要するに取るだけ取って、本当は1円も分配してないんじゃないか、ぐらいの、ライブハウスから取った額っていうのは、まったくもしかして…溶けちゃってんじゃないかっていうな、そういう疑念すらあるんですか、どうなんですか」 

「あのぅ…この前「週刊文春*12でしたっけ、JASRACの方がインタビューで、不明なのはただの、5%だっけ2%…5%…2%にすぎないって言ってたんですけど*13、それでも20億とかあるんですよね*14。で、それに関しては、本当そうなってくるとブラックボックスなんで、それは疑えばキリはないんですが、払ってないと言うとまた私訴えられちゃいますんで、もう透明化してくれたほうが、きれいで印象もいいし、だから本当に、分かりません、それに関しては。まったく想像もつきません」 

「今の点ですが、内部処理が外から見えないということで、分からないというのがもうすべて。そこに尽きるということでありまして、ただ会計ではですね、別会計になって、預り金の処理のような形で、いったん集めたお金をサンプリングにヒットした曲に分配するということは、これはもうやっていないはずがないですから、そういった意味で、どこかに溶けてなくなっているということは、私は考えていません」

 

「他に」 

「はい、同じく(聞き取れず)と申します。2点お伺いします。

まずですね、資料の、スライド資料3ページ、4ページ。JASRACの運用の仕方、コンサートとライブハウス、これまったく違うようなやり方でやってると思うんですが、例えば裁判のプロセス、もしくはそれ以外のその向こうと交渉のプロセスにおいて、なぜ、このライブハウスとコンサートが違う運用のやり方でやっているのか、何らかの説明っていうか、受けたことはございますか。これが1点目と、

もう1点目は、さきほどファンキーさんの説明の中にもありますように、足掛け9年間でしたっけ、9年間JASRACと裁判やってこられたんですが、例えば同時にですねファンキーさんの、JASRACの自分の音楽の著作権を委託していると思いますが、同時に裁判もやって、JASRACから嫌がらせみたいなことをされたことはございますか。この2点についてお伺いします」 

「はい。えー…1点目何でしたっけ。あ、はい、コンサートホールと…。それは裁判の中でも、こちらも主張しました。もうまったく線が引けないじゃないですか。コンサートで、コンサートホールでできることはライブハウスでもできるんじゃないですか、ということはもう形を変えていろいろ聞いてはいるんですが、答は得られませんでした、ちょっとそのことに関しては。得られませんでしたですね、もう…まったく得られませんでした」 

「そこはあのぅ…我々にとって意味のあるという、まぁ有意義だという意味のお答はいただいているとは認識していないということです」 

「はい、2番目ですけれども。JASRACから嫌がらせというのはですね、もし本当にあったとしたら、また文化庁にお願いして(笑)、そういうことはやめるように、もうお願いするしかないんじゃないかなと思います。

他に」 

「はい、分かりました。ありがとうございます」

 

NHKNHKの(聞き取れず)と言います。

さっき(席を)外していたので、ちょっと聞き漏らしていたことであればすみません。今日、文化庁の担当課はどこだったのでしょうか。提出された先です。ちょっと不勉強で」 

著作権課です」 

N著作権課。で、そこでですね、向こう側としてはこれを受理したというか、どんなリアクションがあったんでしょうか。それについて、どうコメントしたのか。出されたのか」 

「受理したということではおそらくないと思います。上申書を受け取ったという段階で、それで拝見させていただきますということはおっしゃっていただきまして、こちらのほうから20分ほどご説明を差し上げて、10分程度ご質問いただきまして、それを踏まえて預からせていただきますというお言葉をいただきました」 

N「最後なんですけれども、ただ先ほどのお話だと向こうは調査する義務はなくて、握りつぶすことも可能だというようなお話があったんですけども、それは、当然今日はそのやりとりで出たわけではなくて、こちら側から持った印象というか、これまでのいろんな経緯を踏まえて、そうされることも想定されるということでおっしゃった?」 

「さきほど「握りつぶす」って言葉が出たのはですね、ちょっと隣から私のほうで訂正させていただきたいんですが、行政のほうに裁量がある、することができるというタイプの行為でございますので、こちらの申し立てたことに関して、なるほどと思う部分があってもですね、反対側の(聞き取れず)を聴取してから、そちらの面についても配慮せざるをえないということで、何らの指導もしないということはありうるところでございますので、そこに関しては「握りつぶす」という表現はちょっとあまり好ましくなくって、審査していただいた結果、何もないということもありうるということでございます」

 

「ほか」 

デイリースポーツ「デイリースポーツの福島(?)と申します、よろしくお願いします。

サンプリング契約(聞き取れず)ちょっと我々からすると正直驚きだったんですけれども、実際まぁ、両方その運営主体でもあり演奏もされている末吉さんからして、いくつかのモニタ店で、いわゆる調べられている、分配の元になっているデータというのは、現実に、やっぱりだいぶ乖離があるというふうに感じてらっしゃいますでしょうか」 

「そのサンプリング店で集めた結果も、サンプリング店がどこだったのかも、一切公表してくれないので、それがもう…まったくもって分かりません。こちらには答えてもくれないし、だから数字は、一つだけ分かるのは、自分のところに振り込まれてない、ということ以外はもうまったく分からない闇の中です」 

鈴木先生にお伺いしたいんですけれども、こういったちょっと特殊な契約に関して、いろいろ社会通念上やはり常識では考えられない契約に見えるんですけれども法的に見てこういった契約自体に問題があるということはないんでしょうか」 

「まず、大前提としまして、もし、この演奏権管理事業者が、5つも6つもあればですね、嫌であれば、その契約をやめて他に行けばいいじゃないかということはありうるんですけれども、演奏権に関して言いますと、いまJASRACの独占状態になっておりますので、一社独占というのは非常に競争ゼロということでございますから、非常に稀な市場の状態になっていて、で、音楽関係者がそこから逃れることはできない、演奏権に関してはもうどうしてもJASRACが示してきた規則、規約、そういったものを飲むか飲まないかという選択以外にないという状態にあります。

ですので、こういう状態にある場合にですね、その条項が行き過ぎた場合、例えば不当条項とか、公序良俗違反とか、それから権利濫用、そういった手法で争っていくという余地はありますし、実際に今般民法改正されて法改正というのがなされまして、そのときにも、かなりこの約款のようなもので不当条項が入っている場合に、それを無効にすべきじゃないかという議論は相当なされたんですけれども、今回それに関連する改正がなされましたが*15、依然としてそういったものを無効だと言って適用されないというふうに争うのは、かなり難しいのが現状でございます」

 

「ほかに」

CCTV「はい、同じくCCTVビジネスチャネルのマー(?)と申します。1点お伺いしたいと思います。

さっきおっしゃった通り、JASRAC著作権を(聞き取れず)してます。でもこの前、エイベックスがJASRACを離脱し、他の著作権管理団体に移行しました。今後の著作権管理に競争が生まれ、音楽市場の活性化になる可能性があります。この点についてどう思いますか」 

「他の管理会社が出てきたので、競争になるんじゃないかということですね。はい、それを音楽業界の人はものすごい期待をして、イーライセンスとか、そういう会社の応援をしてる業界人もまわりにもたくさんいるんですけれども、何せスタンダードのすべての楽曲を持っている会社なので、それを手放さない限り、それをこっちにくれない限り*16新しい曲では競争力がありますけど、古いすでに絶対に演奏されるすべての曲はJASRACは持っているので、これが95対5から50-50になることはまずありえないんじゃないかなと思います」 

「今のご質問とさきほどのデイリースポーツの方のご質問と重複する面があるんですが、実際にNexToneというところがありまして、音楽著作権管理事業者ですが、そこはジャパンライツクリアランスとイーライセンスが統合してできた会社なんですが、そこがNo.2のような形になりつつ、まぁだいぶ1位と2位離れていますけれども、ただ実際にはですね、演奏権の生演奏の分野というものに関して言えば、まだJASRAC独占の状態。ですから、そこに関しては競争がない、あいかわらず競争がない。そういうことで、じゃあその場合に一方的とも思われるような条項が入れられてしまった場合にどうなるかと。そこは、文化庁のほうで適正化を図っていただきたいというのが今回の主旨でございます」

 

「ほかに」 

大野「音楽評論家の大野祥之と申しますけれども、

もともとのですね、JASRACと楽曲をつくる立場のミュージシャンとの契約に関して、それはその、その契約というのは、レコードをメジャーから出すときに成立するものなのでしょうかというのがひとつ目。

で、僕もいくつかバンドのプロデュースを手掛けましたが、JASRACのほうの書類というのは、例えば楽曲の管理会社であったり、出版会社ですね、あるいはレコード会社のほうからこういう契約書があってこれを書かなければいけないんだよという、例えば22、3ぐらいでデビューするような若者に対しての説明としてとても、何て言うんですかね、行き届かない説明のもとに、どうぞって出される場合がとても多いように感じるんですね。そこの部分からまずこのスライドの9にあるような、著作権物使用許諾契約を結ぶ場合は、包括的使用許諾契約っていうようなことの説明までも、ないと確か記憶してるわけですね。そのへんはどうお考えでしょうか」 

「まず1番目ですけども、メジャーデビュー…世の中の流れがですね、私がメジャーデビューする時代はまだアナログ盤でしたので、プロだアマだという、プロとアマチュアの線がはっきりしてました。なぜかというと、アナログ盤というのはプレスにものすごいお金がかかるので、自分でレコードを簡単に出すことができなかった。だから、レコードが出る人がプロで、レコードが出てない人はアマチュア。だからメジャーデビューっていうところで線が引かれました。

確かに、メジャーデビューをしたら、ヒットしたときにお金がちゃんと入るから、JASRACと契約しましょう。ま、JASRACというより、ある音楽出版社と契約しまして、音楽出版社JASRACと契約するわけですけども、まあ他に選択肢がなかったので、そんなもんだと思って契約してたのは事実です。

ところが、CDの時代になって、今はどんな人間でもCDが出せますので簡単に。そこで、あるCDを出す、メジャー流通だから、じゃあ著作権登録をしなきゃなんないという考えは、今はもうなくなってきたんじゃないかなぁと思いますね。インディーズのバンドとかプロのバンドでも、別に著作権契約しないという選択肢を持っている方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。

ただ、JASRACの会員の場合は、今回の私の裁判の中でも出ましたが、当時はJASRACしかなかったので、そのようなあんまり知らずに、得だよということでみんな契約してる人がほとんどだったんですが、書いた瞬間に、発売しなくてもこの権利はJASRACに移動されると、もう移るという契約書を結んでいる人も今、音楽業界に何万人もいます*17。そういう人たちは、もう著作権登録をしないという選択肢はないということなので、書いた瞬間にJASRACのものになるという主張でした。

2番目の…2番目の質問なんでしたっけ」 

「若者たちが。知識のない若者たちに」 

「あ、契約書の。はい。

私も、この裁判があって、ある前から著作権は自分の生活に密着してるので、ものすごい知ってたつもりでした。が、裁判の中でどんどん出てくる新しい事実。例えば包括契約でこんなふうに分配されますよという契約を交わしてたかどうかなどは私は全然分かりませんでした。その他、店の契約書を見ても、裁判の中で、あなたはこれを読みましたかというものすごい小さな文字の一行を見せられて、読んだかどうかも覚えてない、普通は読み飛ばすっていうところにものすごい大事なことが書かれてたりします。だから、若いミュージシャンがほんとにそういう契約書を全部理解してサインしてるのかなというところにはちょっと疑問があります」

 

「他にありますか」 

「すみませんたびたび。朝日新聞の赤田でございます。

さきほどJASRACのことを事実上独占状態なので、選択肢がない、特に演奏権管理で選択肢がないというお話もありましたが、改めて伺いたいのは、本来権利者のために存在している団体なわけですけれども、その権利者の一人であるですね、ファンキー末吉さんのような意見とか、思いがですね、団体に届かないのか、そのへんの要するにやり方を改善する分配の方法とかですね、いろいろ改善してほしいという思いを届けられない、彼らがそれを受け止めないのだとしたら、それはどういう点が問題、どういう、なぜそうなのか。JASRACはどうしてそういう団体なのかっていうそこの、末吉さんから見るところの、権利者とJASRACの関係というのはどういう関係なのでしょうか」 

「うーん、やっぱり独占であることが、問題なのかなぁと思います。例えば、これが50%…シェアが50%と50%があって、こちらは話しやすい、こちらは話が通らない、だとこちらを選べますが、その選択肢がないので、わざわざもっと話を通りやすくしようという努力がないのかなぁなどと私はちょっと思ってしまいます。それも、独占なところが問題なのが原因ではないかなと考えてます」 

「ごめんなさい、一部についてはJASRACも、別に彼らの代弁をするつもりはないんですが、えーと確か演奏…権利者の方が自分の曲を演奏する場合は確かその場合はえーと、なんか言って不要に、許諾を不要にするみたいな確かそういう一部改善も確かしてると思うんですけれども*18、そういう改善のスピードが遅かったりとか、あるいは姿勢に問題があったりするんじゃないかとは思うんですが、どうなんでしょうかその、権利者の意見に対して、JASRACはこう謙虚に耳を傾けている感じはないっていうことでしょうか」 

「私はそういう感じは…しません。聞いてくれなかったという個人的にはそういう実感が残ってます。で、やっぱり大きな会社なので、変化のスピードが遅いというのは、あるのかもしれません。例えば、システムにしてみたら、もうあるわけだから、コンサートのシステムをそのままライブハウスに使えるわけだから、こんなの明日出来るんじゃないかと素人はやっぱり思ってしまうんですが、それが簡単に出来ない組織であるという、原因は分かりませんけど、そういう現実はあるなと思います」 

「今ご指摘いただいた点は、裁判でもずいぶん主張したんです実は。例えば末吉さんもそうなんですが、自分の曲を使うときに、その使用料が分配されないってことはおよそ分かっているにもかかわらず、申請しないといけない*19。その申請漏れがあったような場合にはですね、作者を不法行為者として訴えてくるというようなところがありました。

それで、作者が自分で使う場合、さすがにですね、それは形の上では契約には反している面はある、私もそう思いましたけれども、不法行為という形で捉えるのはいかがだろうか、ということで、不法行為というものに関して言えば、それはさすがにですね、お客様の楽曲を信託で、形の上でですね譲り受けた形にして、その経済的利益に資する活動をしよう、そのお客様のための経済的利益に資するためにですね、信託してるというところで、お客様が自分で自分の曲をつくったという、使ったというときに不法行為者という扱いをされるということに関して言えば、それは相当こちらとしては法的に主張したところであります。

で、今、それがだいぶ長く経って、ようやくそのことに対して対応していただいたと。ですから、これに対してもですね、ずいぶん長い時間がかかったなという気がしております」 

「大丈夫ですか。…はい、それではあのぅ、こんな格好ですけれども、よろしかったら写真を撮っていただいて、この場はお開きにしたいと思います。今日はどうも、ありがとうございました」

(以下、写真撮影)

*1:最高裁 昭和63年3月15日第三小法廷判決

*2:著作権法学会

*3:東洋大学法学部 安藤和宏准教授(当時)による意見書

*4:裁判所は「ライブの開催を主な目的として開設されたライブハウスである」「ミュージシャンが自由に演奏する機会を提供するために本件店舗を設置,開店した」「出演者が希望すればドラムセットやアンプなどの設置された機材等を使用することができる」「ライブを開催することで集客を図り,ライブを聴くために来場した客から飲食代として最低1000円を徴収している」という事実を総合し、単なる場所貸しではなく演奏主体にあたると認定した

*5:債務の全額弁済のご報告」(2017年8月16日)によると供託金は末吉氏からJASRACへの弁済の一部に充てられたとのこと

*6:東京地裁 平成25年(ワ)第28704号のp.29以降

*7:NexToneも演奏権を管理しており、使用料規程も存在するが、2017年末時点では実際の管理業務を開始していない。NexTone自身は、演奏権をJASRACに部分信託するよう推奨している

*8:この差異は、演奏の形式の違いによるものと考えられる。JASRACの使用料規程ではライブハウスは「社交場」に分類される。ファンキー氏の著書「日本の音楽が危ない~JASRACとの死闘2899日~」によれば、上申書に書かれている文言は「『社交場』での演奏の使用料は1円も計上されていなかった」。一方、2009年の調停でファンキー氏側が提出した文書では、「社交場」での分配は0回だが「演奏」で何回か分配されており、そのうち4回が自身のライブからの分配であろうという推測が記載されている

*9:音楽教育を守る会 2017年6月20日付活動トピックス

*10:JASRACの事業報告書によるとライブハウスを含む「社交場」からの徴収額は年間約20億円で、全体の約2%にあたる

*11:ここは誘導質問のようになっているが、あくまでも自分で演奏した分が分配された記憶がないという意味で、他人が演奏した分の分配がないわけではない。氏の著書によると、2000年4月からの10年間で延べ21曲分の使用料が分配されている

*12:週刊文春 2017年7月20日号

*13:JASRAC 2017年5月24日 定例記者会見資料のp.5によると1.98%

*14:近年のJASRAC使用料徴収額は年間約1100億円で推移しており、2%だと約20億円になる

*15:民法の一部を改正する法律のp.93、第548条の2第2項

*16:JASRAC自らが手放すというよりは、信託契約期間満了の3か月前までに信託者が書面で契約更新しない旨を通知することで信託契約が終了する(著作権信託契約約款9条)

*17:2017年4月1日時点で個人で信託契約を結んでいる数は10,901人

*18:JASRACプレスリリース「著作権信託契約約款の変更について」

*19:ライブハウスでの演奏は使用料を店側が払うので、演奏者が使用料を払うことはない。演奏者自身が使用料を払うとすればコンサート等だが、分配がなかったという事例は確認されていないので、意図的かどうかは不明だが鈴木弁護士の説明は混同している。なお、自分の曲を使うときに使用料を払う必要があるのはNexToneも同様